トラウマと不妊治療 -心への影響-
妊活がとてもストレスになるというのは経験者であればだれでもご存知でしょう。
一番ストレスを感じるのは女性なのは言うまでもありません(男性にも多少ではありますがストレスがかかってきます・・・)。
実際、不妊治療がストレスと感じるのはいったいどのような出来事でしょうか?
当院にご来院の方の意見を紹介します。
ご自身、ご家庭への不安
・自然に子供ができないということ
・私は一生妊娠できないのではないか?
・何をしたらどうしたら良いのかわからない
・夫が協力的ではない
・薬による体の負担
・不妊治療をどこまで続けてよいのかわからない
・子供や妊婦さんを見ると羨ましく思う
・年齢が問題だといわれた
・母親になることができるかという不安
・不妊治療によって授かった子供の将来は大丈夫か?
・雑誌やインターネットでの情報に左右される
・高額なサプリを飲まなくてはいけない
・漢方薬局では病院の不妊治療を受けるなといわれる
・妊娠初期の流産への恐怖
・夫の精子が悪いのに病院へ行かない
・夫にサプリを勧めるが飲んでくれない
・言っていることがみんなバラバラで何を信じればよいのか
病院への不安
・治療金額が高い
・病院の待ち時間が長い
・病院への通院回数が多い
・仕事との両立
・どの病院に行けばよいのかわからない
・採卵が痛い、怖い
・採卵ができない
・移植をしても結果が出ない
・転院するタイミング
・治療法を選ばせる医師への不安
・いつも同じ治療法しかしない
・質問をしようとしても聞くなという雰囲気
・あまり話をしてくれない
・とても横柄な態度
・カード払いができない
大小さまざまな不安を抱えていますね。
不妊治療中は不安を日々感じ、頭から離れることはありません。
妊娠出産というのはライフイベントの中でもかなり重要なウエイトを占めていることが伺えます。
ある方の話では、「不妊治療が終わっても不妊治療のつらい話を聞くと涙が出てくる」といいます。
さて、不妊治療ではいろいろな不安やストレスを抱えていますが、今度は「トラウマ」についてご説明を。
トラウマ的出来事とは、「身体的、感情的、心理的な困難や災害、被災体験であり、事故、手術なども含めて個人的な安全を脅かしたと感じられるような体験」のことです。
出来事の大きさや被害の程度が、トラウマ症状の程度に比例するとは限りません。
緊急時に、恐怖感と無力感を伴い、闘争・逃走反応が完了せずに神経系に滞ってしまうと、それがトラウマとなってPTSDの発症に繋がり、身体症状や心理症状として出てくるのです。
もう一方では、慢性的なストレスも無視できません。
私たちの生活は、日常的にストレスにさらされています。
命の危機というほどの出来事ではなくても、慢性的なストレスに随時晒されると自律神経のバランスが崩れることはよく起こります。
また過去に大きな出来事を体験した人が、成人してからストレスにさらされ続けると、相乗的に身体の許容範囲が狭くなり、些細なことに過剰反応するようになったり、不安や落ち込んだり、身体が弱ったりすることがあります。
「今までは耐えられていた、大丈夫だったのに」とはよく聞く言葉ですが、ストレスとはそういうふうに徐々に影響していくものなので、身体を緩めることを心がけるのは健康を保つために大切なことです。
以下のことが、個人的な安全を脅かす危機となり、トラウマとなり得る出来事です。
繰り返しますが、必ずしもトラウマとなるとは限りませんが、原因不明の身体症状や心の問題の原因や不定愁訴がこういった出来事に起因していることもあるので、過小評価しないことが大切です。
一般的に言われているトラウマ的、ストレス的な出来事をご紹介します。
・事故、むち打ち、スポーツ事故、落下、転倒
・手術、医療的介入、長期の病気、高熱、毒
・戦争、紛争、拷問、テロ
・自然災害、火事、洪水、地震、津波
・海、川、プール、浴室などで溺れた、窒息
・暴力行為、レイプ、性被害
・職場でのストレス、ハラスメント、人間関係、超過労働、異動、昇進、降格
・家族、恋人、友人やペットの死、喪失
・学校でのストレス、いじめ、教師からの暴力(身体的、精神的)、転校
・引越し、移転
・幼少期の身体的虐待、性被害、言葉での虐待、ネグレクト、育児放棄、裏切り
・自分が母親としての出産期・周産期トラウマ、流産、不妊治療
・自分自身が生まれた時のバーストラウマ、母親のストレス、出産期・周産期トラウマ
・両親の不仲、ケンカ、DV、離婚
・親からの過干渉、抑圧、厳しいしつけ、過度な期待、親孝行のプレッシャー
・ジェンダーアイデンティティに関する悩み
・子育て、教育、進学、病気、発達障害、身体障害、引きこもり
日常的に起こりやすそうなところを太文字にしてみました。
大人に限らず、全年齢層で、誰にでも起こりそうなことも含まれています。
先ほども書きましたが、出来事があったとしてもみんながトラウマになることはありません。
とはいえ、心身への様々な症状を起こすことも事実です。
・心臓の動悸、呼吸(器)障害、めまい
・ささいなことでビクッとする
・過活動、多動、ADHD
・慢性的な痛み
・不眠、睡眠障害、悪夢
・PMS、生理痛
・消化の問題、過敏性腸症候群
・免疫システム障害
・慢性疲労
・そわそわする、落ち着かない、貧乏ゆすり
・人とうまくやれない、人が怖い、信用できない
・自立が怖い
・自分さえ我慢すればいいと思っている
・人と愛情でつながることやコミットが難しい
・人から愛情を受けることが難しい
・依存しがち(喫煙、飲酒、ドラッグ、性的、仕事、食べ物、ゲーム、SNSなど)
・特定の場所、活動、記憶、状況や人を避ける、逃げる
・爪を噛む、髪をいじる
・他人、家族、子ども、環境、状況をコントロールしがち
これらの症状は私自身も経験あるし、だれでも起こりうるものだとは思いますが・・・。
それもそのはず、自律神経のトラブルなので、ちょっとしたストレスでも起こります。
トラウマになりうる出来事が、人生において一度もないという人はいないでしょう。
そんな温室育ちはないかと思います。
私自身を振り返ってもかなりのトラウマ的、ストレス的出来事がたくさんありましたから。
・小中学で太っていたので肥満児検診の集合が全校放送されて嫌な思いをした
・父親の急死
・祖母が行方不明
・自分の不注意による交通事故
・相手の不注意によるバイク事故
・大好きだった牛(名前バンカー)が売られていった
・ペットの死
・太っているということでのいじめ(サンドバック状態)
・厳しかった剣道でのしごき
この程度のことは誰もが一つや二つ経験しているでしょう。
これらがトラウマかといわれるとそうでもない気がしますけど、無理やり言えば飲酒とか、不眠とかはありますね。
実際、トラウマを考えるときに2つの方法があると思います。
①出来事を想像して、心身にどう影響するか考える方法。
基礎から始まり、結果を導く方法ですね。
こちらはあくまで予防的思考ですので、不妊治療を始めるのであれば同時に考えておく必要があります。
対策を考えることができるのでダメージは少なそうですね。
ただし、先見の明がなければ完全に見落とすのでとても難しいことです。
②トラウマから考えて、なぜ起こったのか出来事を考える方法。
こちらは、今悩んでいる方の人生をフィードバックして考えて、原因を探る方法。
原因を探るのは良いのですが、もうトラウマになっているので後ろ向きな方法です。
不妊治療は、過酷であるということは皆さん承知して取り組もうとしていますか?
はっきり申し上げますと、不妊治療は「闇」です。
先の見えないトンネルと同じかもしれません。
その理由は100%の解決策がないからです。
その闇、トンネルである不妊治療がその後の人生のトラウマになるようでは困ってしまいます。
幸せであふれているようでなくては・・・。
そこで不妊治療が抱えている不安を先に解決する、同時進行して処理しておくことが大切です。
その方法は、中立な立場で、古今東西の情報をたくさん持っていて、信頼できる人を探すことでしょう。
当院へお越しになる方から、不妊治療を始める前に来ておけばよかったとおっしゃっていただけます。
私たちのスタッフはいつも皆様の支えになるために、常に学び、高めあっています。
また施術時間はずーっと話ができるように、個室で、マンツーマンで対応します。